集合トランプ

次世代のトランプ「集合トランプ」で遊べるゲームを紹介しています

ジャンモジャナン

概要

 \{1, 2, 3\}

みなさんは、この集合をどのように読んでいますか?

「1 と 2 と 3 の集合」「1 と 2 と 3 からなる集合」、あるいは「集合 1、2、3」などでしょうか。

この集合トランプゲーム ジャンモジャナン は、なんと集合の読み方を 勝手に決める ことができます!

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ルール

プレイヤーは 2 人以上を想定しています。

カードの読み方

ジャンモジャナンは、カードに「読み方」を与えるゲームです。とはいえ、各プレイヤーが自由気ままに読みを決めてしまうと、収拾がつかなくなってしまいそうですね。

そこで、このゲームでは、以下の規則にしたがって、カードの読みを決定していくことにします。

数の読み・集合の読み

  • 数は、1 文字以上の 読みを持つものとします。
  • 黒色の 集合は、その要素を 小さい順に、それぞれの数の読みで読むことにします。
  • 赤色の 集合は、その要素を 大きい順に、それぞれの数の読みで読むことにします。

各数の読みが

  •  1「ジャ」
  •  2「ン」
  •  3「モ」
  •  4「ジャ」
  •  5「ナン」

と定まっているとします。このとき、集合の読みは次のようになります:

  •  \{1\}「ジャ」
  •  \{3, 5\}「モナン」
  •  \{1, 3, 5\}「ジャモナン」
  •  \color{red}{\{1, 3, 5\}}「ナンモジャ」
  •  \color{red}{\{1, 2\}}「ンジャ」
  •  \color{red}{\{2, 5\}}「ナンン」
  •  \emptyset「」
  •  U「ジャンモジャナン」
  •  \color{red} U「ナンジャモンジャ」

準備

集合トランプ 1 セット 64 枚をよく切って、山札として裏向きに積み重ねておきます。

手番

プレイヤー(誰でもよいです)が、山札の一番上のカードをオープンします。 ここでめくられたカードの「読み」が一意に定まっているかどうかで、この後に行うことが変わります。

読みが定まっている場合

めくられたカードの読みが既に決まっている場合は、その集合を いち早く、正しく 読めたプレイヤーが、めくられたカードを獲得できます。読み間違えたり途中で噛んだりしてしまうと、このカードを手に入れることはできません。

もし、誰もカードを手に入れられなかった場合は、次にカードを手に入れた人が、このカードを獲得します。

なお、空集合  \emptyset の読みは常に「」に定まっていますが、空なので 読めない ですね。なので、空集合がめくられた場合も同様に、次にカードを手に入れた人が獲得できることにします。

読みが定まっていない場合

めくられたカードの読みがまだ確定していない場合は、その 集合に 読みを与えます。この際、既に決められた他の集合の読みに矛盾するような読みを与えることはできません。正しく読みを与えることができたプレイヤーが、このカードを獲得します。

なお、ここで定められた読みを正しく覚えておくことは難しいので、どこかにメモしておくことを推奨します。ただし、そのメモを見ながら集合を読むことは禁止します。あくまで「正しく読めたか」の判定にのみ用いてください。

終了

山札が尽きたら、ゲームは終了となります。獲得した手札が多い順として、プレイヤーの順位が定まります。

ゲームの進行例

「集合の読みが定まっていく過程」を、具体的に見ていきましょう。

 \{1\}

はじめの集合は、当然(空でなければ)読みは定まっていません。なので、読みを与えます。

例えば、 \{1\} の読みを「しゅうごう」と定めます。すると、自動的に数  1 の読みが「しゅうごう」になりますね。

 \{2, 4\}

次の集合は  \{2, 4\} です。これもまだ読みは定まっていませんね。要素数が 2 なので、2 文字以上の読みを与えなければいけないことに注意してください。

ここでは、読みを「しゅうしゅうか」としてみます。このとき、数  2, 4 の読みはまだ定まりません。というのも、

  •  2 の読み「し」、 4 の読み「ゅうしゅうか」*1
  •  2 の読み「しゅ」、 4 の読み「うしゅうか」
  •  2 の読み「しゅう」、 4 の読み「しゅうか」
  •  2 の読み「しゅうし」、 4 の読み「ゅうか」
  •  2 の読み「しゅうしゅ」、 4 の読み「うか」
  •  2 の読み「しゅうしゅう」、 4 の読み「か」

の 6 通りが、読みとしてあり得ることになるからです。

 \{3, 4, 5\}

これもまだ、読みは定まっていません。しかし、上で  4 の読みが 6 通りに制限されたので、例えば「くうしゅうごう」のような読みを与えると、既存の読みに矛盾してしまいます。

では、「そうかいかん」と読むことにします。このとき、考えられる  3, 4, 5 の読み方は、

  •  3「そ」、 4「うか」、 5「いかん」
  •  3「そう」、 4「か」、 5「いかん」
  •  3「そうかい」、 4「か」、 5「ん」

の 3 通りになりますね( 4 の読みに縛りがかかっていることに気をつけてください)。

 \{1, 2, 4\}

まだ、数  2, 4 の読みが定まっていないので、この集合の読みは確定していないように思えますが、実はもうこの読みは一意に定まっています

 1 の読みが「しゅうごう」、 \{2, 4\} の読みが「しゅうしゅうか」であったので、この集合の読みは「しゅうごうしゅうしゅうか」と定まっています。

集合収集家っていったい何なんでしょうね。このゲームは、単語が切り貼りされて偶然生まれた "パワーワード" を楽しむゲームと言っても過言ではありません。

 \color{red}{\{1, 2, 4\}}

赤い集合なので、数を大きい順に、すなわち  \{4, 2, 1\} と読むことになっています。黒の  \{1, 2, 4\} と違って、こちらはまだ確定していません。これまでに定められた読みを考慮すると、

  •  2「しゅうしゅ」、 4「うか」→  \{4, 2, 1\}「うかしゅうしゅしゅうごう」
  •  2「しゅうしゅう」、 4「か」→  \{4, 2, 1\}「かしゅうしゅうしゅうごう」

ここでは、前者の読み「うかしゅうしゅしゅうごう」を採用します。すると、各数の読みが

  •  1「しゅうごう」
  •  2「しゅうしゅ」
  •  3「そ」
  •  4「うか」
  •  5「いかん」

と、一意に定まることがわかります。

数の読みが定まったら、あとはひたすら集合を素早く正しく読む戦いとなります。例えば、

  •  \{3\}「そ」
  •  \{2, 5\}「しゅうしゅいかん」
  •  \{3, 4\}「そうか」
  •  \color{red}{\{1, 3\}}「そしゅうごう」*2
  •  \color{red}{\{1, 5\}}「いかんしゅうごう」
  •  U「しゅうごうしゅうしゅそうかいかん」
  •  \color{red} U「いかんうかそしゅうしゅしゅうごう」

などと読むことになりますね。

まとめ

ヘンテコな集合の読みが生まれていく集合トランプゲーム、ジャンモジャナン でした。頭の中に「辞書」を素早く構成する能力が求められますね。

*1:1 文字目が「ゅ」である単語をどう読むかは、皆さんにお任せします。これがきもちわるいと感じる人は、お好みでこのような区切り方を禁止してください

*2:狙ったわけではないのですが、実在の概念 素集合 が現れました