集合トランプ

次世代のトランプ「集合トランプ」で遊べるゲームを紹介しています

補集合かるた

前回のような「補集合の関係にあるペアを探す」集合トランプゲームは、「補集合神経衰弱」の他にもいくつか考案されています。今回はそのうちのひとつ、補集合かるた の紹介をします!

概要

「補集合の関係にあるペア」とは、「合わせてぴったり全体集合  U になるもの」のことでしたね。例えば、 \{1, 2, 4\} \{3, 5\} \{2\} \{1, 3, 4, 5\} \emptyset U みたいな組み合わせです。詳しくは以下の記事で説明していますが、たぶんこの解説を見なくてもこのゲームは遊べると思います:

補集合かるたでは、このペアを使った「かるた」を行います。なんと "トランプ" で "かるた" を遊べるのです!

ルール

一般的なかるたと同じく、2 人以上のプレイヤーと、それとは別に「読み人」を 1 人用意します。そして、取り札として、集合トランプのどちらか 1 色 32 枚を並べます:

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場にちらばった取り札

残ったもう 1 色のカードは、そのうち何枚か(2 ~ 3 枚程度)抜いて、読み札として読み人が持っておきます。*1

準備が整ったら、読み人は読み札に書かれた集合を読み上げます。ちなみに、集合はここでは以下のように読むとよいです:

  • 書かれた数は、小さい順に読む
  • すべての数を読み上げたら、最後に「以上」などと添えて、読み上げの終了を伝える

読み方の具体例をいくつか挙げておきます:

  •  \{3, 5\} :「3、5、以上」
  •  \{1, 3, 4\} :「1、3、4、以上」
  •  \{2\} :「2、以上」
  •  \emptyset :「以上」

さて、プレイヤーは、読み札が読まれはじめたら、取り札の中から 読まれた集合の「補集合」を探し出して、早い者勝ちでそのカードを取ります。例えば、読み人が「3、5、以上」と告げたなら、プレイヤーは  \{1, 2, 4\} を探します。もし間違った札を取ってしまった場合は、そのプレイヤーはお手つきとして「1回休み」のペナルティを受けます。*2

これを繰り返して、読み札がなくなったらゲームは終了です。取った札が多い順にプレイヤーの順位が決定します。

プレイ動画

数学デー にて補集合かるたを遊んだときの様子が、以下の動画です:

所感

単純なルールながら、読まれた集合の補集合を考えながらカードを探すのは、意外と頭を使います。

また、百人一首にある「決まり字」という概念が、補集合かるた上にも存在しています!

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カードが減ってくると……?

ゲームが進行して何枚かのカードが取られ、以上のような場になっているとしましょう。ここで、次の読み札が  \{1, 4, 5\} であれば、読み人は「1、4、5、以上」と読み上げるわけですが、実は「1、4」の時点で読み札は一意に定まることがわかります。読みが「1、4」で始まる集合は  \{1, 4\},\ \{1, 4, 5\} の 2 つしかありませんが、このうち前者の補集合  \{2, 3, 5\} は場に残っていないため、取るべき札は  \{1, 4, 5\} の補集合  \{2, 3\} と確定するわけです。決まり字を考えると、より素早くカードを取ることができるようになりますが、あれこれ考えすぎると「補集合を取る」操作がおろそかになってしまいがちです。むずかしい。

さらにこのゲーム、読み人側も楽しめます。特に  \emptyset「以上!」と読むのとか。

まとめ

読まれた集合の「補集合」を探すかるた、補集合かるた の紹介でした。

次回は「位相 (topology)」という概念が登場する、集合トランプならではのオリジナルゲームの紹介をします。お楽しみに~

*1:残った 32 枚すべてを読み札とすると、最後の数枚が自明な試合になってしまうので

*2:あるいは、ペナルティとして「-1点(取った札を 1 枚返却する)」なども考えられますね。お好みでどうぞ