大集豪
概要
定番トランプゲームのひとつに、「大富豪」(あるいは「大貧民」)がありますね。これを集合トランプ上に持ち込んだものとして、大集豪 *1 というゲームが知られています。
定義
ルール説明の前に、このゲームにおける「カードの強さ」などを定めておきます。
カードの強さ
2 枚のカード(2 つの集合) について、 が より 強い とは、次の 2 つの条件のうちどちらかを満たしていることを言います:
-
( が を真に含んでいる) - かつ 辞書
( の要素数が等しく、かつ辞書式比較において は より大きい)
ただし、例外的に は より強いと約束します。*2
また、 が より 弱い とは、 が より強いことと定めておきます。
具体例を挙げると、以下のような強さ関係が成り立ちます:
- は より強い(含んでいる)
- は より強い(要素数が等しく、辞書順で大きい)
- は より強くはないし、弱くもない
例の 3 番目からもわかるように、「強くない」と「弱い」はイコールではありません。
カードの連続
枚のカードの組 が 連続している とは、これらの要素数がすべて等しく、かつこれらが辞書順で連続して並んでいることを言います。例えば:
- (カードが 1 枚だけの場合、無条件に連続していることになります)
これらの集合たちは、それぞれ「連続している」ということです。逆に、次の集合たちは連続したものではありません:
- (要素数が異なっている)
- ( が抜けているので、辞書順連続でない)
- ( が抜けているので、辞書順連続でない)
「辞書順連続」の条件は少し見えにくいので、気をつけてください。
ルール
プレイヤーを 2 人以上 *3 集めて、全員にできるだけ均等に 64 枚のカード全てを配り切ります。その後、適当な方法で手番順とスタートプレイヤーを決定します。
手番にできること
手番のプレイヤーは、手札からカードを選んで場に出していきます。
場にカードがない場合
場にカードが出ていない(すなわち、ゲーム開始直後 または 場が流れた直後)ときは、プレイヤーは 連続した 1 枚以上のカードの組を自由に選んで場に出さなければいけません。*4
場にカードがある場合
場に既に 枚のカードの組 が出ているとします。このとき、プレイヤーは、(連続していなくてもよい) 枚のカードの組 であって、以下の強さ関係が成り立つようなものを、手札から自由に選んで出すことができます:
より が強いことを、 で表しています。
なお、出せるカードがない(あるいは、出したいカードがない)場合は、パスをすることができます。誰もカードを出すことなくパスが 1 周続いたら、場が流れ、最後にカードを出していたプレイヤーが次の手番を行います。
これを繰り返して、早く手札を 0 枚にした順に、ゲームの順位が決定します。
革命
連続した 4 枚以上のカードの組が出されると、革命が発生します。
革命が発生すると、「強さ」「弱さ」の関係がひっくり返ります。すなわち、さきほど図示していた条件における "矢印の向き" が逆転します:
革命によってひっくり返った強さ関係は、場が流れた後も継続します。
切り / 切り
「それ自身を除いたあらゆる集合より弱い集合」が それ単体で(1 枚組として)場に出されると、その瞬間に場が流れ、そのカードを出したプレイヤーが次の手番を行います。*5
難しく書いていますが、要は「通常の強さ関係時には で、逆転時には で場が切れる」というルールです。
例
カードを出せる条件の記述が抽象的だったので、いくつか具体例を挙げます。
まず、初めに出たカードが 1 枚であれば、単純により強いカードを出していくだけになります:
次に、初めに複数枚の連続したカードが出た場合の流れは、以下のようになります:
すべての矢印が成立していることを確かめてみてください。
例外的に が より強いことを用いると、次のような奇妙な出し方をすることもできます:
はじめに 4 枚以上の連続カードの組が出されると、革命が起こって強さ関係が逆転するため、例えば以下のようにカードが出されていきます:
1 段目と 3 段目で革命が起こっています。
まとめ
大富豪 on 集合トランプ、大集豪 でした。ルールはほとんど大富豪そのままですが、強さ関係が変更されていることで、違ったテイストのゲームになっています。複数枚出しがきれいに決まると気持ちいい。
また、大富豪と言えば「ローカルルールの多さ」ではないでしょうか。この記事では特殊ルールを「革命」「*切り」しか定義していませんが、この他にもいろいろな追加ルールを考えてみるのも一興です。