集合スピード
前回の記事では「集合トランプ」が何たるかを説明しました:
今回からは、いよいよこのカードを使って遊べるゲームの紹介に入ります。 第1回で紹介するのは、最初に誕生した遊び方である 集合スピード です!
概要
集合スピードとはその名の通り、通常のトランプで遊べるゲームの有名どころである「スピード」に似通ったゲームです。2人で対戦するゲームで、自分が持つカードを場に早い者勝ちで重ねていき、先に自分のカードをなくした方の勝ち、というシンプルなものです。しかし、通常のトランプで行うスピードに比べて、カードの出し方の戦略性が増しています。詳細は後ほど。
ところで、「数学を題材にしたゲーム」と聞くと、数学について詳しくないと遊べないんじゃない?と思われるかもしれませんが、ご安心ください。集合スピードを遊ぶには、集合の 包含関係 さえ知っていれば OK です!
「包含関係?なんぞそれ」という方は、以下の記事、あるいは他のネットの情報などを参考にしてみてください:
ルール
プレイヤーは 2 人です。各プレイヤーは、集合トランプのどちらか 1 色 32 枚をよく切って伏せ、それぞれの山札とします。そして、最初にそこから 4 枚ずつめくって自分の手元に置き、手札とします:
双方の準備が整い次第、「せーの」などの掛け声とともに、各々の山札の上から 1 枚を取り、同時に真ん中の場に置きます:
ここから、「ある条件」を満たしている自分の手札を、早い者勝ちでどんどん場札に重ねていくわけですが、その条件とは「包含関係が成立している」ことです。
例えば、上の写真の状況において出せる手札は、以下のようになります:
- 黒の は、 に対しては含んでも含まれてもいないので、 の上に出すことはできません。一方で、 には含まれているため、 の上には重ねて出すことができます。
- 黒の も同様に、 に含まれているので、 の上には出せます。
- 黒の は、 を含んでいるので、 の上に出すことができます。包含の"向き"は関係なく、「含む」「含まれる」のどちらか一方さえ成り立っていれば、その手札は出せる わけですね。
- 黒の は、 と のどちらも含んでいるので、どちらか好きな方に重ねて出すことができます。
- 赤の は、黒の と同じく、 の上にのみ出せます。このゲームでは、カードの色が出し方のルールに影響することはありません。
- 赤の は、 と のどちらとも包含関係をもたないので、この場では出すことができません。
- 赤の は、場の の上に重ねて出すことができます。同じ集合どうしにも、包含関係は成り立つからです。
- 赤の ですが、空集合はどんな集合にも含まれているので、どんな場にも出すことができます!いわゆる「オールマイティ」ですね。なお、全体集合 も、あらゆる集合を含んでいるため、空集合と同じく どんな場にも出すことができます。
その他のルールは、普通のスピードと同じです:
- 手札を場に出したら、手札が 4 枚になるまで山札のいちばん上から補充することができます。
- どちらのプレイヤーも出せる手札がなくなってしまった場合は、それぞれの山札の一番上(山札がない場合は、手札の好きな 1 枚)から同時に場に置いて、仕切り直しとします。
- 先に山札・手札をなくしたプレイヤーの勝利です。ただし、「仕切り直し」により双方の最後の 1 枚の手札が同時に場に置かれた場合は、引き分けとなります。
プレイ動画
集合スピードのプレイ動画を、集合トランプ公式 twitter にて投稿しています:
"包含関係が成立する" ものを場に出すことができる「集合スピード」のプレイ動画です pic.twitter.com/JlYBMucFeY
— 集合トランプ (@set_cards) November 7, 2018
所感
先に述べたように、集合スピードは、通常のトランプで行うスピードよりも戦略性が高まっています:
- 実は、カードに書かれている数の個数によって、そのカードの出しやすさが異なっています。具体的には、書かれている数が 1個, 4個のカードは出しやすく、2個, 3個のカードは出しにくい ことがわかります。出しにくいカードは積極的に処理していきたいところですね。
- オールマイティである 空集合 や 全体集合 は、うまく使えば素早くたくさんのカードを減らすことができます。しかし、相手がそのようなカードを持っていると気づければ、相手がそのカードを出したのを見計らって、自分のカードをその上に滑り込ませる といった、相手のカードを利用する高等テクニックも考えられますね。
などなど、考察できることはたくさんあるのですが、この記事はあくまで「集合スピード・ルール説明編」にとどめておきます。詳細はまた後日「集合スピード・攻略編」なる別記事を作って、そこにまとめようかなと。
まとめ
集合の 包含関係 を用いた、ちょっと思考力を問われるスピード、集合スピード の紹介でした。
次回・次々回は、"あの"有名なゲームに 補集合 という概念を持ち込んだものを紹介する予定です。お楽しみに~